荒ぶるひつじ

一生思春期。ひつじが好きなことを書く。

パラレルワールド・ラブストーリーに吐き気がした

ネタバレです。

ネタバレしかありません。

 

どうも、ひつじです。

パラレルワールド・ラブストーリーを前情報ほとんどなしで観に行った者の感想です。

作品がつまらなかったとか演技が下手だったとかそういう意見では全くないのですが、衝撃を受けたせいで口の悪いことを言うかもしれません。

内容に関しての感想がほとんどで、1番の見応えであろうストーリーについて話しまくるので、観る予定のある人は読まない方が楽しめると思います。

 

 

 

 

 

 

ではまず……

パラレルワールド

ラブストーリー?

ふざけんじゃね〜〜〜〜〜〜!!!

 

って言うのが見ながらの感想でした。

パラレルワールド大好き人間なのですが、想像していたファンタジーな感じと全然違う!!

以前、「あなたは絶対2回観る」というキャッチコピーがついていた「イニシエーションラブ」という映画を観たのですが、ああいうトリックがあるのかと思ってました。

イニシエーションラブは元AKB48前田敦子さんが主演女優ということもあり、話題になった作品ですね。

あの映画は「はあ〜〜!!」という気持ちのいい終わりと、きちんとトリックを説明してくれる親切さ、それから前田敦子さんの演技におおおお!ってなり、とてもいい作品を見たなと思いました。

そういうのかな〜?と思ってたんだ、パラレルワールド・ラブストーリーも……

 

いやいや…………マジか?

だってあれ、物理的すぎるじゃん。

あと体感だけど、冒頭30〜40分くらい意味わからん。意味わからんよ…

気が狂うかと思った。

 

簡単に説明すると、主人公の崇史(玉森裕太)、その親友の智彦(染谷将太)、そしてヒロインの麻由子(吉岡里帆)の三人の関係が二つに分かれている。

智彦と麻由子が付き合っている世界。そして、崇史と麻由子が付き合っている世界。

その二つが交互に映し出されて見てる方は「え?何これ?今どっち?お?」ってなる。その上、なぜこんなことが起きているのか?分からなくなる。

小出しにされる情報のせいでネタバラシの前になんとなくわかってくるんだけど、それがまた恐ろしい。

三人は脳科学の研究をしているラボに勤めており、ラボが主な場面でもある。そこで智彦は「脳に光照射をして記憶の改ざんに成功した」という話をする。

実験前と後では、小学校の担任は誰だったかという記憶が書き換わっていたらしい。

それも、本当は許可を得てからやらなければならないことを人間相手に実験して得た成果なのである……

もう賢いみんなは気づいたよね?って感じだった。

 

え?もしかしてこれ、非人道的な人体実験で誤った記憶を植え付けられてるって話?

もしも麻由子が彼女だったら〜彼女じゃなかったら〜っていう二つの可能性があるよね。ちょっとしたきっかけで世界って全然変わるよね〜みたいな話じゃないの?

 

へえ〜……マジか……

 

いや、普通にドン引きですよ。

そんなの許されるわけないじゃないですか?

人為的な記憶の改ざん?脳をいじる?

パラレルワールドは?ラブストーリーは?ええ〜…………怖…………

 

そして途中で智彦が実験したラボの後輩は植えつけられた記憶と事実との差にパニック起こして発狂してぶっ倒れ、夜中にまるで死体のように車で運ばれていきました。

いやいやいや……マジ?ってなった。

 

矛盾した二つの世界に見てる方は頭おかしくなりそうなわけ。

そしてこれは記憶を遡って見てる過去の回想なのか、現在起きてることなのか、どっちなのか?って疑問に思いながら見てた。

しかし主人公崇史の様子がだんだんおかしくなってくる。

まるで、視聴者の私達のように、彼女と付き合っている自分の記憶と親友の智彦と彼女が付き合っている記憶が混濁し始める。

どんどんふらふらになっていき、真実はどちらか確かめるため、確かな物的証拠である写真にたどり着いた。

そこに映っていたのは、智彦と麻由子が付き合っている世界線で撮ったはずの写真。

「こっちが真実なんだ……」と気づく崇史。

「お前はいったいどっちの彼女なんだ」と麻由子に怒鳴りつけて飛び出た先でついにぶっ倒れる。

 

そして、崇史の上司が二人が同棲している家にやってきて麻由子に言う。

「彼はついに思い出したか」

「君に任されているのは彼の監視だけだ。まさかこんな生活がずっと続くと思っていたのか?」

 

いや待て待て……怖くない?

普通に、怖いよ?

これはもう国家巻き込んでるからトップシークレットだし、盗聴もしてたんだよって、あれ?ラブストーリー…?

 

つまり麻由子って、何もかも知ってたの?

崇史は人体実験されていた?なんのために?

自分が先に惚れてた女が親友の彼女だよって紹介されて、気づけば自分の彼女という記憶に書き換えられた世界で生きてて?なんなんだこれは?

 

そしてネタバラシターンが始まるわけだけど、まあ胸糞悪い話だった。

崇史は電車の車窓越しに名前も知らない麻由子に恋をしていた。

しかし初めて顔を合わせたのは智彦の彼女として紹介された時だった。

智彦は親友と彼女にもうまくやってほしいと思っていたが、二人の距離はあまり縮まらない。

そんな折、智彦は脳科学に関するなんかすげー発見をする。(私の知識のなさが露呈するなぁ)

最年少ノーベル賞も夢じゃないくらいの発見らしい。

親友でありライバルの崇史とは彼女のことに加えてすげー発見が原因で少し関係がぎくしゃくする。

智彦はラボの後輩(確か篠崎だったかな)で実験を始めていた。

それをのめり込みすぎだと心配する麻由子に、崇史はついに自分の思いを告げる。本当は電車で見た時から好きだったと。しかしそんなの言われても困ると断る麻由子。

で、崇史は崇史の後輩から篠崎はぶっ倒れて以来連絡がつかないと聞く。智彦の研究班はずっと篭りっきりだし智彦は人殺しのような目してるしなんかやばそうなんですけど……って。

そんな時、智彦が突然崇史の家を訪ねてくる。

「麻由子は君のことが好きで、君も麻由子のことが好きなんだろ?」

それに「ああ」とだけ崇史が答えると、智彦は黙って去っていく。

そして崇史はタクシーで麻由子の家を訪ねると、無理矢理ねじ伏せて「好きなんだよ!」とか言いながら麻由子と体を結ぶ。途中から合意の上に見えたけど、麻由子の気持ちはどこにあったんだろう。

崇史がカレッジからラボに移る最後の日(カレッジとかラボとかの関係がよくわからないので、曖昧だけど最終日のようだった)智彦から研究室に呼び出される。

崇史が研究室に行くと、智彦は研究の全貌を教えてくれた。

簡単に言えば、記憶を願望に改ざんする装置。それを使って、智彦は自分の記憶を書き換えてほしいという。麻由子のことを知らない自分になれば、二人のことを祝福できるからと。

「でも君にも十字架を背負ってもらうよ」

智彦はそう言って智彦と麻由子の写真が入った懐中時計を崇史に託した。

「写真は変えてもいいから」と言って。

そして言われた通りに装置を起動するが、装置は説明されていない動作を起こし、バグのような状態に。パニックになる崇史だったが智彦は目を開けなかった。

そこにやってきた教授は崇史の話を聞き、智彦がスリープ状態になっていることを知る。機械を見ると、わざとスリープ状態になるように設定されていた。

「これじゃ自殺じゃないか……」

教授の言葉に愕然とする崇史。

 

そして、崇史は罪の意識から逃れるため自ら記憶を改ざんすることを望んだ。

それは多くを知りすぎた崇史の処理として研究所側からも都合のいい申し出だった。

スリープ状態になった篠崎と並べられた智彦の隣で、教授は麻由子に言う。

「記憶の改ざんによって崇史は麻由子と付き合っていると認識している。君は彼と生活を共にし、24時間監視しろ」

 

全てを思い出した崇史に、教授は智彦がデータを手渡しているはずだと伝える。

智彦はただ自殺をしたわけではない。

自らがスリープ状態になることによって、篠崎をスリープ状態から助ける方法を証明したのだと。

ただ、研究所がそんな自分の体を使った証明は許さないから君に任せたのだ。麻由子も、データも、崇史を信用して託した。

崇史は必ずデータを持ってくるから、麻由子と二人で話させてほしいと伝えた。

 

智彦に渡された懐中時計、その写真の裏にデータの入ったチップは張り付けられていた。

麻由子と二人きりになった崇史は「全て俺が悪いんだ」と自分を責め、麻由子も崇史の記憶が戻ったら自分だけを責めるのではないかと心配していたと言った。

そして、麻由子も全て忘れたふりをしてこの生活を続けていたから自分にも罪があると。

「今度こそ全てを忘れて、やり直そう」

麻由子はそう言う。

「もしかして、記憶を……」

「もう一度私を見つけて」

二人は最後のキスをする。

 

そして、研究中の崇史に場面が映る。

見ている画面に映っているのは、傍らのベッドで寝ている智彦のデータだ。

そこにやってくる先輩に「また泊まったのか」と言われ、崇史はこう返す。

「どうせ待ってる人もいないですから」

やがて智彦は目を覚まし、崇史はそれをじっと見つめていた。

 

渋谷の交差点、信号を待つ崇史の元に電話がくる。

「なんだよ智彦、分かったよ、久しぶりに家で一杯やろう」

歩き出す崇史。人混みの中、すれ違った誰かに気づいて足を止めた。

振り返ると、流れる人の中で同じように足を止めてこちらを見ている女性と目が合う。

麻由子だった。

 

人の行き交う交差点を上空から撮っている映像に変わり、エンディングテーマが流れ出す。

 

 

 

ざっとこんな流れだった。

いやー、これ最後どうなったんですか?

こんなの説明する方が不粋なんだろうけど、人混みに紛れてしまったあのあと二人が再会を果たしたのかそのまま別々に歩き出すのか全然見届けられなかった。

ていうか智彦生きててよかったねー!

って気持ち………

篠崎も死んで、夜中に運ばれて埋められるのかと思った。復活しそうでよかった。

智彦は彼女取られた恨みから、自殺スイッチを押させて一生罪を背負わせようという復讐なのかと思ったぜ……

お前さてはいいやつだな……?

 

なにがこんなに気持ち悪くて吐きそうになったかって、人間の記憶や認識の不確かさよ。

願望と現実が擦り変わるなんて恐ろしいことがある?

自分の願望に都合がいいように改編された記憶の中で、どうやって生きていける?

じゃあ、今自分が持っている記憶が真実だとどうやって証明できる?

誰かに書き換えられた記憶の中で生きている可能性もあるのに?

こんな人為的なパラレルワールド怖すぎる……!!

考えるほどドツボにハマって空中分解を起こしそうな思考ですね。宇宙まで行っちゃいそう。

 

しかし演技とてもよかった…

表情の演技よかった……

麻由子の表情、すごく色っぽかったな…

悲痛な決意を秘めた真っ直ぐな視線もよかった。

智彦の「人殺しのような目」も見た時すぐ分かった。あれは…すげえ……

だんだんおかしくなっていく崇史よかったよ、怖かったよ、いや怖かったよ…正気度が削られてくようだったよ…

夢と現実が混ざり合って、夢まで現実にされてしまったんだから、人間がまともな精神を保っていられないよ。

 

そんなわけで、吐き気がするほど自分の倫理観をぐちゃっとされましたってことでした。オーバーテクノロジーって怖いねえ。

いい刺激をもらってすごい面白かった。しかし最後「東野圭吾」の文字見て納得して帰ることができました。

 

 

え?ストーリーの説明がよくわからなかった?

観に行け〜〜〜〜〜!!!

私も混乱してるんだから〜〜〜!!

目で確かめに行け〜〜〜〜〜!!!